今月の主題 生理検査
技術解説
皮膚電位水準と皮膚電位反射との測定技術
新美 良純
1
1東邦大学・精神生理学
pp.1134-1140
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915591
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かつては唖者,幼児など言語反応のできない者や,ヒステリー性視聴覚障害者,あるいは傷害保険金目当ての詐病者などの他覚的視聴覚検査1)として重用された条件皮膚電気反射も,誘発電位が簡単に記録できるようになった現在,それに席をゆずってしまった.同じ自律系の反応でも脈波は,健康保険も使えるし成書も多いが,皮膚電気反射はそのようなこともなく,また我が国で唯一の成書2)も数年前から絶版になってしまって,測定経験のある読者はほとんどないと思う.
汗腺の霞気現象の表出である皮膚電気活動は,コリン作動性の交感神経の単独支配を受けており,生理学や神経学の教科書に引用されている交感神経皮膚分節の図3)は,皮膚抵抗水準(skin resistance level;SRL)の測定により得られたものである.このように交感神経活動の指標として,また近年はバイオフィードバックの指標として,更には皮膚電位水準(skin potential level ; SPL)の陰性の著しい低下が,脳波や眼球電図よりも早くから入眠,更には意識水準の低下を予告する4,5)ので,いねむり運転などの警告装置としての有効性が重視される.またSPLの低下はレム期の到来を6〜10分前から予告するから,レム期に多いとされる狭心症発作の予知としてCCUやICUでの使用も期待されるなど捨て難い意義を持っている.
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