負荷機能検査・9
ACTH負荷試験
内田 俊也
1
,
尾形 悦郎
1
1東京大学第4内科
pp.1042-1050
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915570
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ACTH負荷試験は内分泌学領域における数多い負荷試験の一つであり,副腎皮質の予備能をみるための重要な検査である.一般に内分泌学における負荷試験には刺激と抑制があり,負荷を与えた後の血中,尿中ホルモンその他の推移をみることによって,生体の複雑なフィードバック機構を解明し,内分泌疾患を診断することができる.負荷の程度としては生理的に近い条件の負荷を与えるか,あるいは最大限に近い負荷を加えて生体の反応をみるかは,その目的によっても副作用によっても異なってくる.ACTH負荷試験の歴史をたどると,少量で最大の効果を得るためと副作用を極力少なくするための努力が払われているのが分かる.
ACTH負荷試験の発祥は1948年のThornら1)の研究に始まる.彼らはコルチコトロピン(天然ACTH)に対する副腎皮質の反応として,循環好酸球の減少と尿中尿酸排泄量の増加に注目した.純粋ACTH25mg1回筋注法により,4時間後の変化は正常において,循環好酸球数は前値に比し−60%〜−100%(平均−80%)と減少を示し,尿中尿酸排泄量(尿中尿酸値/尿中クレアチニン値)は+60%〜+180%(平均+100%)と増加を示した,Addison病では前者は−20%〜+30%(平均0%),後者は−20%〜+60%(平均+20%)という結果であり,正常者とは明らかな有意差を認めた.
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