新しいキットの紹介
Kyo Lipo KitによるHDLコレステロールの測定—特に異常リポ蛋白出現例における検討
池田 敏
1
,
渡辺 誠
1
,
武田 和久
1
,
長島 秀夫
1
1岡山大学第1内科
pp.845-848
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915527
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はじめに
近年,高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-Chol)が動脈硬化症,特に冠動脈硬化性心疾患の負の危険因子として注目を集めており,日常の臨床検査としても頻繁に測定されるようになった.この一因として,HDLの分離が沈殿法の開発によって容易に行えるようになり,また分離されたHDL中のコレステロール(Chol)も酵素法で簡便に測定できるようになったことが挙げられる.しかし沈殿法によるHDL-Cholの測定には,中性脂肪(TG)が高値を示す血清に認められる沈殿物の浮上,HDLサブクラス間における沈殿物生成の差など問題がないわけではない.
今回我々は,TGが高値でも比較的沈殿を生じやすいとされている1,2)リンタングステン酸ナトリウムとMgCl2による沈殿法(NaPhT-Mg2+法)によってHDL-Cholの測定を行い,従来から行っているデキストラン硫酸とMgCl2による沈殿法(DS-Mg2+法)の成績と対比し検討を加えた.特に肝内胆汁うっ滞時に高率に認められるSlow-migrating HDL (HDL-S)3)及びその他の異常リポ蛋白4)の,2種類の沈殿剤に対する反応性の差異について,ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動(PAGE)による解析を行い,興味ある結果を得たので報告する.
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