検査ファイル
HDL-コレステロールの測定
今村 ちさ
1
,
和田 佳子
1
1国立がんセンター中央病院臨床検査部
pp.74
発行日 1993年1月1日
Published Date 1993/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901382
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ヒト血清の高密度リポ蛋白(high density lipoprotein;HDL)には15〜28%のコレステロールエステル,3〜9%の遊離コレステロールが含まれている.このHDL-コレステロールの血中濃度と虚血性心疾患の発症頻度の間には負の相関が示され,その抗動脈硬化作用は末梢組織に蓄積したコレステロールを肝臓に転送し,異化する「コレステロール逆転送系」への関与に基づくと推察されている1).
血清HDLの分画法としては,超遠心法,液体クロマトグラフィー,電気泳動法などもあるが,臨床検査では多数の検体を処理するための簡便性,迅速性を考慮して,血清検体にリポ蛋白を特異的に沈殿させる試薬を加えて分画する結合沈殿法が用いられている.沈殿試薬としては,ヘパリン硫酸-Mn2+,デキストラン硫酸-Mg2+,ヘパリン-Ca2+などがあるが,ここでは最近開発されたデキストラン硫酸-ポリエチレングリコール(PEG)-Mg2+試薬を用いた血清HDL-コレステロール測定法について概略を記す.
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