特集 免疫学的検査の進歩
Ⅲ.自己免疫疾患・アレルギー
胃壁
福田 守道
1
,
中沢 修
1
1札幌医科大学癌研・内科
pp.1197-1200
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915264
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いわゆる慢性胃炎の発症に免疫異常が関与しているか否かはなお明らかでない.しかしながら以下に述べるようにある種の胃炎,すなわち胃粘膜萎縮を伴う顕症あるいは潜在性の悪性貧血や,慢性胃炎の進行例に自己抗体として胃の壁細胞抗体や内因子抗体が証明されることが知られている.
また悪性貧血においては内因子の産生が減少,消失し,内因子—B12複合体の形成が低下するため,回腸の受容体を介しての腸管B12吸収が高度に障害されB12欠乏,そして巨赤芽球性貧血の発症をみると理解されているが,Jeffries, Chanarin, Goldberg,福田らにより指摘されたように,本症では血清中に2種類の内因子抗体が証明されるばかりでなく,胃液中にもこのような抗体が出現し,B12の腸管吸収を強く阻害すると考えられている.更に本抗体は後述するように悪性貧血症例の血清中に高率に出現し,診断的意義も高いとされている.以下主としてその手技とその進歩につき触れてみたい.
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