私のくふう
免疫電気泳動像の簡易な判読法
橋本 寿美子
1
1板橋日大病院臨床検査科
pp.591
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915118
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免疫電気泳動法は,血漿蛋白組成の増減をマススクリーニングするには極めて優れた方法であり,我々も免疫電気泳動法を日常臨床検査法の一つとして実施しているが,その判読に際しては,熟練者でも特異抗血清を使用しなければ困難を伴うことがしばしばである.特に数多くの沈降線の形成が認められるα2分画においてその感が強い.中でも,血管内溶血や肝炎の活動性を知る良い指標となるとされているハプトグロビンは,遺伝型による易動度の相違があり,その減少時にはα2HS糖蛋白やセルロプラスミンなど,α2分画に含まれる蛋白と紛らわしく,更に判読を困難にしている.
また,免疫電気泳動法は尿蛋白の分析にも応用さね,α2-マクログロブリンなどの大分子蛋白の検討は,糸球体基底膜の選択的透過性が保たれているか否かを判定する目的でも注目されている.ところが免疫電気泳動法は比較的感度も低く,微量蛋白の検出には不適当てある.これらの問題をいくらかでも改善する目的で,我々は10×10cmの寒天ゲル平板を用い,免疫電気泳動を実施した残りの部分を利用して,図のようにOuchterlony法を実施し,これらの蛋白の判定に役立てているが,極めて便利なので紹介したい.
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