技術解説
糸球体の過ヨウ素酸—メテナミン銀染色法
矢島 権八
1
1日本医大第1病理
pp.14-19
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909233
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過ヨウ素酸-メテナミン銀(Periodic Acid-Methenamine silver;PAM)染色法を用いての糸球体染色について,その染色手技,特に本法を用いる場合優秀な成績をあげるための一つの要因となる薄切組織標本を得る方法に重点をおいて解説してもらいたいという編集の方からの要求があった.本染色法がうまくいくか失敗するかについては,いろいろな点で標本作製上の留意事項がある.本染色法は,過ヨウ素酸酸化,メテナミン銀による加温鍍銀という特殊な鍍銀法と,ヘマトキシリン・エオジン染色法による後染色という二つの染色法を用いているので,それぞれの染色法をうまく行わなければならないという特殊性がある.それらに基づく染色実施上の留意事項というかコツというものがあることはもらろんのことである.単に組織標本の薄切のみが重要なポイントになるとはいえないことは,このようなことからもよく分かっていただけると思われる.本染色法は,他の鍍銀法と異なって,薄い組織標本ほど染色成績が良好となるのは事実である.どのくらいの薄さが良いかというと,特別な方法を用いないと,普通のユング型ミクロトームで普通のパラフィン用メスを用いたパラフィン切片標本では,息を吹きかけて目盛り2.5μmとうのが腎臓では普通の場合まず最も薄いものといっていいであろう.
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