技術解説
細菌性毒素と抗毒素の検出法・3—致死毒(1)
本田 武司
1
,
三輪谷 俊夫
2
1大阪大学微生物病研究所
2大阪大学微生物病研究所・細菌血清
pp.484-492
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914351
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致死毒とは
ごく微量投与して数日以内に動物を急性死せしめる物質を致死毒と呼び,シアン化合物のような無機化合物からアルカロイド,タンパクなど種々のものが知られている.近年タンパク毒素の精製法ならびに生物活性の解析方法が進み,致死活性を持つ細菌性タンパク毒素の作用機序が物質レベルで解明されるようになってきた.
細菌毒素の致死活性は,毒素を経口的または注射(腹腔内,静脈内,筋肉内,皮下など)によって動物に投与し,その動物が死亡するかどうかを調べることによって判定する.更に死に至る時間や,死に要する最少毒素量などをもって,その毒素の致死活性を表すことができる.毒素投与後,死に至る時間は一般的に言って,投与毒素量が多いほど短くなるが,腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒(致死毒)のように投与後数分以内に殺すような即時的な致死毒もあれば,破傷風菌のneurotoxinやボツリヌス毒素,ジフテリア毒素のように比較的大量投与しても数時間あるいは日単位で死亡させる,言わば遅延型致死毒とも言うべき毒素もある.
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