こぼれ話
病理医が望む優秀な検査技師
矢谷 隆一
1
1三重大学・病理学
pp.1272
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913470
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術中診断や細胞診が盛んになるに従って,検査技師と病理医はより親密になり,お互いに信頼し合わなければならないが,時として,しっくりいかないことがある.日常感じていることを記し,自分自身の反省点にもしたいと思う.
病理医が診断の難しい組織診症例に遭遇したとき,時として標本のできの悪いことを診断のできない理由にすることがある.確かに標本の隅にわずかに癌組織らしいものが見られるが,挫滅していたり,染色が簿かったりするとそのような気持ちになる.自分の力を棚に上げ,標本が悪いから診断できないと臨床医に報告している病理医のことを,その標本を作製した検査技師がどう思って聞いているのだろうか.いかに気心が知れた間柄であっても,いい気持ちはしないだろう.もし標本が悪いのであれば,その理由を具体的に伝えるべきであろう.すなわち,挫滅が強いのであれば臨床医に採取方法を考えてもらい,染色が悪いときには技師が配慮し,病理医の診断技術が未熟の場合はそれ相応の対応が必要ということだろう.信頼関係が第一ということをよくわきまえていることが重要である.
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