入門講座 病理
病理検査技師に望まれる4つの要素
内海 邦輔
1
1国立東京第2病院研究検査科
pp.583
発行日 1968年8月15日
Published Date 1968/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916454
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これまでは病理検査における機械類の取り扱い上の注意事項について書いてきたが,これからの数回は,病理検査技師として必要な基本的注意事項および,有能な病理検査技師になるためには,どんな心がけと努力が必要か,などについて述べる。今回は基本的注意事項について述べる。
はじめに,病理検査技師に要求される性格について述べよう。何といってもまず"きちょうめん"な性格である。すなわち,"開けたら閉める""用がすんだら消す"といった"きちょうめんさ"である。たとえば,染色液を使うために試薬ビンの蓋を取って,必要量を染色バットに移し終わったら,必ず確実に蓋をして元の場所に戻す。パラフィン溶融器の扉を開けたら,必ず閉める。ガスバーナーに点火したら用がすんだら必ず消す。顕微鏡の光源ランプのスイッチでも,部屋のスイッチでも同様である。このきちょうめんさは病理検査を正確に行ない,かつ不注意による事故を防止するために必要である。生まれつぎきちょうめんな人,ルーズな人と,生まれつきの性格は多様であるが,病理検査に従事するためにはこのきちょうめんさが要求されるので,生まれつききちょうめんな人はますます磨きをかけ,反対に生まれつきルーズな人は,厳しい自戒と訓練により,きちょうめんな性格に変えてゆかねばならない。どうしても生来のルーズさの抜け切れない人は,病理検査技師を志すことを止めるしかない。このことはどの検査技術者にも共通したことと思う。
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