特集 生検の進歩
I 臓器別生検
i 組織診
3 消化管
渡辺 英伸
1
,
小山 栄一
1
,
岩渕 幸雄
1
Hidenobu WATANABE
1
,
Eiichi KOYAMA
1
,
Yukio IWABUCHI
1
1新潟大学医学部第一病理学教室
pp.1183-1190
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913450
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はじめに
生検(biopsy)とは,生体から採取した材料を顕微鏡的に検査し,診断を下すことである.広義の生検には細胞診,針生検,パンチ生検,手術材料や解剖材料の病理形態学的検査も含まれる.一般に消化管材料の生検では,内視鏡的採取材料の生検(endoscopic biopsy)〔鉗子生検(forceps biopsy),内視鏡的切除材料の生検(endoscopic resection biopsy)—内視鏡的ポリープ摘除材料の生検(endoscopic polypectomy biopsy)やstrip or jumbo biopsy〕1)と外科的切除材料の生検(surgical biopsy)とが主体を成す.
生検では病理形態学,特に組織学的診断基準によって診断が下される.しかし,病変の組織学的診断基準はつねに絶対的なものであるとは限らず,既存のそれによって良性,悪性を判定しにくいこともある2).さらに,新しい臨床情報を導入することにより,既存の組織学的診断基準が変わる可能性も十分にありうる.炎症性腸疾患にあっては内科的治療や自然治癒で,病変の組織学的診断基準がすべて消失して,病変の肉眼的特徴(診断基準)のみが残存することもしばしばある3).
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