今月の主題 注目のウイルス・リケッチア感染症
技術解説
ウイルス性白血病の診断・治療過程における臨床微生物学検査法
松元 実
1
Makoto MATSUMOTO
1
1鹿児島大学医学部附属腫瘍研究施設がん化学療法部門
pp.714-721
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913360
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は,ウイルスの関与するヒトの悪性腫瘍としてもっとも注目を集めている疾患の一つである.1981年,ATLの起因ウイルスであるATLV/HTLV-Iやその関連抗原(ATLA),あるいはそれに対する抗体(抗ATLA抗体)の存在が確認されてからは,ATLは医学・生物学のあらゆる分野で研究の対象とされ,その実態に関する研究は長足の進歩をとげた.そのため,臨床検査室でもウイルス学や免疫学,あるいは分子生物学的な技術の要求される場合が多くなりつつある.
ここでは,ATLに関する多くの臨床微生物学的検査のなかから,主として抗ATLA抗体の検索に的をしぼり,その技術的解説を行った.このほか,臨床検査室レベルの検査としては多少難があるものの,ATLの診断や研究に必要と思われるATLA陽性細胞の検索やHTLV-IのプロウイルスDNA検索の臨床的意義などについて若干の解説を行った.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.