今月の主題 眼と耳
カラーグラフ
眼球の組織病理標本の作りかた
沖坂 重邦
1
Shigekuni OKISAKA
1
1防衛医科大学校眼科学教室
pp.1606-1608
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913198
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
眼球の組織病理標本作製に際し,注意すべきことは,①固定・包埋の過程で人工的網膜剥離を起こさせないこと,②検索すべき部分が標本に入っているように切り出しを行うこと,③肉眼的所見を十分に記録しておくこと,④適切な薄切・染色がなされていること,などである.
眼球は,角膜・隅角・虹彩・毛様体・水晶体・硝子体・網膜・脈絡膜・強膜・視神経などの構造の異なる組織から構成されているので,各構成成分の固定による変化がほぼ一定であるように配慮する必要がある。よい切り出しは正確な組織病理診断にとって不可欠の条件であるから,視神経・黄斑・角膜の位置関係を十分に把握して眼球に割を入れる必要がある.組織病理診断は肉眼的所見を元にしてなされるのであるから,肉眼的な観察を十分に行い,できればカラー写真として記録保存しておくと,後日の診断に役だつ.眼球の場合,ヘマトキシリン・エオジン染色,PAS染色,Masson3色染色をルチーンにすることを推奨する.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.