今月の主題 造血器
技術解説
白血球酵素の測定法
坂本 忍
1
Shinobu SAKAMOTO
1
1自治医科大学内科(血液学)
pp.1500-1509
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913177
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白血球に関する酵素の中で特にリンパ球系細胞の酵素の検索は,細胞表面形質の免疫学的検索とともに血液疾患の診断に有用である.
本稿ではリンパ球系細胞の分化と密接に関連して変動する酵素であるターミナルデオキシヌクレオチイデルトランスフェラーゼ(TdT)とプリン代謝に関係した酵素であるアデノシンデアミナーゼ(ADA),プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP),ならびに5′—ヌクレオチダーゼ(5′NT)についてその測定法を中心に解説し,これらの酵素がリンパ球系細胞の分化,成熟とともにどのように変動するかを述べ,またこれらの白血病の診断上の有用性について述べた.
TdTは生化学的測定法ばかりでなく,TdTに対する特異的な抗体を用いて蛍光抗体法や免疫細胞化学的方法が用いられてきているが,これらの方法でTdTを検出する場合には,TdT以外の蛋白質と反応して偽陽性所見を示すことがあるのでその解釈には注意を要し,生化学的なTdT活性の測定を併用するなどして,その反応のTdT特異性を検討することが重要であるこを指摘した.
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