特集 先端技術と臨床検査
Ⅴ生体機能と測定技術
7高感度EIA
石川 榮治
1
Eiji ISHIKAWA
1
1宮崎医科大学生化学教室
pp.1343-1347
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913151
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●はじめに
筆者は単純に,酵素がラジオアイソトープより高感度で検出しうる可能性のあることから,ラジオイムノアッセイ(RIA)より高感度な酵素免疫測定法(エンザイムイムノアッセイ;EIA)の開発を始めた1,2).しかし,初期には,酵素に経験をもつ多くの生化学者が,国の内外を問わず,その可能性に疑問をもち,あるいは否定的見解を表明した3,4).事実,この目的を達成するために必要な技術が不足していた.酵素標識抗体は免疫組織化学的染色にすでに使われていたが,高感度を達成したり,高い測定の再現性を得るためにはまったく不十分であった.血清干渉などの,免疫反応に対する蛋白効果を除去する方法も知られていなかった.免疫測定法を高感度化するための系統的な研究も不足していた.そこで筆者は,過去十数年にわたり酵素標識法をはじめとして,EIAの高感度化に必要な技術の開発を行った.その結果,RIAより高感度なEIAが可能となり,現在ではホルモンの測定に応用して新しい知見が得られるような段階に至った5,6).ただし,筆者らの開発したEIAは高分子多価抗原のためのものであり,現在RIAより高感度になりうる測定は高分子多価抗原に限られている.
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