シリーズ・微量元素の検出法・2
毒性金属の分析
和田 攻
1
,
真鍋 重夫
1
,
柳沢 祐之
1
,
郭 新彪
1
Osamu WADA
1
,
Shigeo MANABE
1
,
Hiroyuki YANAGISAWA
1
,
Shinbyo KAKU
1
1東京大学医学部衛生学教室
pp.889-893
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913042
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はじめに
原子吸光法が金属の定量分析に導入されて以来,その高感度,簡便性および高選択性のために広く普及し,現在一般の臨床検査室での金属の測定には,フレームおよびフレームレス原子吸光法(Zeeman型原子吸光法も含めて)が広く用いられている.当初はシングルビーム分光器とフレームを用いる分析が主で測定値間のバラツキや感度の点でかなり問題があったが,やがてD2ランプによる光学的バックグラウンド補正,Zeeman効果補正法が開発され,さらに黒鉛炉法によるフレームレス(ノンフレーム)法も改良されて,現在では精度,正確度,特異性および感度に優れた方法となり,入手も簡単になり使用も容易となり急速な普及を示し,毒性金属の測定法の主流となっており,この傾向は当分続くものと思われる.
かつて用いられたジチゾン比色法は現在ではあまり用いられず,一方では,誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分析法)や,放射化分析法も一部特定の機関で用いられつつあり,今後毒性金属の分析法は大きく発展するものと思われる.
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