今月の主題 生体リズム
生体リズム
生体リズムとしての睡眠
大川 匡子
1
Masako OKAWA
1
1秋田大学医学部神経精神科
pp.835-840
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913033
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1.はじめに
たいていの人は1年を通じてほぼ同じ時刻に眠りにつき,ほぼ同じ時刻に目覚める.このような睡眠・覚醒の現象は1日を周期とする生体リズムの一つである.1晩,徹夜で仕事をしたり,遊んだりした時には,明け方には強い眠気におそわれる.しかし,この時間帯を通り越すと眠気は去り,日中には再び活動することができるようになる.しかし,夜になると再び強い眠気を感じ,このとき多くの人は覚醒状態を保ち続けることは非常に困難である.このことは,睡眠が,覚醒時間の長さだけでなく,1日を周期とするリズム,すなわちサーカディアン・リズム(日周リズム)により調節されていることを示している.
睡眠・覚醒のみならず,体温,血圧などの自律神経系,下垂体ホルモンなどの内分泌系,免疫系などのさまざまな生体機能にサーカディアン・リズムがみられるのである.このような生体リズムは脳にある"生体時計"と呼ばれる時計機構により調節・維持されていることが,近年になって明らかにされた.この生体時計の働きによって,1日のうちで睡眠の起こる時間帯,睡眠の持続時間などが規定されるのである.
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