講座・リンパ球の検査・6
T,B細胞のサブセットの分離法
原田 弘智
1
,
河合 忠
2
Hirotomo HARADA
1
,
Tadashi KAWAI
2
1㈱スペシアルレファレンスラボラトリー研究部第二研究室
2自治医科大学臨床病理学教室
pp.690-698
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912219
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リンパ球は均一な集団ではなく,その抗原性あるいは機能の面からT細胞,B細胞,Null細胞に分けられている.したがって,免疫現象を論じる際には,種々のリンパ球のなかのどの細胞がどのような性質をもち,いかなる機能を発現しているのかを明らかにしつつ,それらの細胞の役割や相互作用を検索することが重要である.現在では単にT細胞,B細胞といった分類ではなく,T細胞をさらにヘルパー,サプレッサー,キラーといったサブセットに分別し,これら種々の機能を細胞別に調べることが必要となっている.また,抗体産生を担うリンパ球として知られているB細胞には,成熟段階があり,それぞれの分化段階に伴い異なる細胞表面抗原(表面形質)を表現しているものと考えられている.しかも個々のクローンの存続には何らかの調節機構が働いていることが示唆されている.このようなことから,B細胞は,それぞれの表面抗原と細胞の分布(どの分化段階のB細胞か)を細胞別に調べることが必要となってきている.
T細胞サブセット,B細胞サブセットの分離法は,表面抗原の違いに基づいている.
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