今月の主題 モノクローナル抗体
カラーグラフ
悪性リンパ腫とモノクローナル抗体
小柴 博文
1
,
菊地 浩吉
1
1札幌医科大学病理学第一講座
pp.1580-1583
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912065
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ヒトのリンパ球はマウスと同様にTリンパ球,Bリンパ球に大別される.これらのリンパ球は細胞分化および機能的分化により,さらに細かい亜群に分類されてきている.これらの分類は,細胞表面に発現している抗原(マーカー)を指標としている.このような正常リンパ球分化に伴って表現される分化抗原が,リンパ球由来の腫瘍細胞においても表現される.これを応用し,悪性リンパ腫,リンパ性白血病の診断の分類が行われ,その由来,分化段階の合理的な推定が可能となった.近年,モノクローナル抗体が臨床にも応用され始め,診断のための不可欠な道具ともなりつつある.モノクローナル抗体は異種抗血清と異なり,特異性が高く,均一で高力価の抗体が使用できるので,悪性リンパ腫をはじめとするリンパ球増殖性疾患の分類に使用され始めている.現在,モノクローナル抗体を用いた悪性リンパ腫の分類はまだ不完全であるが,近い将来,良いマーカーの発見により臨床に密接した優れた分類ができるものと思われる.
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