特集 臨床細菌検査
Ⅲ.疾患別検査の進め方
6.性器—STDを中心に
津上 久弥
1
,
大里 和久
1
1大阪府立万代診療所
pp.1283-1288
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912024
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性病とは本来,性的接触によって皮膚や粘膜から感染する疾病のことで,外国ではvenereal diseases (愛の女神ビーナスの病気)とよんでいる.このうち重大な病状や後遺症があり,伝染力の強いものとして,わが国の法律では梅毒 syphilis,淋病gonorrhea,軟性下疳 chancroid,鼠径リンパ肉芽腫症(第4性病)Lymphogranuloma venereumの4疾患を性病と指定している.外国においても同様の考え方であったが,最近それ以外の疾病も広く含めてsexually transmit-ted diseases (STD,性行為感染症)と呼称するようになってきた.それには非淋菌性尿道炎,トリコモナス膣炎,陰部ヘルペス,尖圭コンジローム,毛じらみ,疥癬,膣および外陰カンジダ症,B型肝炎などがあり,これらは感染の原因はかならずしも性交だけではないが,性交によって他人に感染が可能な疾患であって,欧米はもちろん,わが国においても最近,年々患者が増加しており,社会的にも重要な問題となりつつある.
このうち臨床的に検査の必要な梅毒,淋病,軟性下府,トリコモナス症を中心に述べる.
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