学会印象記
第29回日本臨床病理学会
樋口 正身
1
1新潟大学医学部附属病院中央検査部
pp.43
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911772
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病理,細胞診を聴いて…
川出眞坂総会長(岐阜大学中央検査部・教授)による第29回日本臨床病理学会総会は,1982年10月22日から24日まで岐阜市で開催されました.一般演題総数は678題で,このうち320題はポスターセッションで発表された.特別講演は川崎医科大学柴田進学長による「臨床病理—その山と川」,総会長講演は「本邦人におけるLp (a)リポ蛋白について」,シンポジウムは2題で「新しい測定技術とその臨床検査への応用」,「注目されている尿中低分子蛋白」と3題の教育講演,そのほかに公開講演会,器械,試薬の展示が行われました.発表会場が6か所に分かれており,見聞しえた講演と病理関係の発表についての感想を記すことにする.
特別講演は柴田学長の35年に及ぶ実践と臨床病理学の歩みを,検査技術の進歩を「川」に架ける橋に,検査診断学の目標を「山」にたとえて,患者の治療・疾病の本態の解明への進むべき方向を示されて熱っぽく話された.日常性の中に流されがちな私には大きな戒めと励ましを与えられた想いがしました.総会長講演は,永年にわたり手がけられたLp (a)リポ蛋白について定量法の確立,本邦人における分布,個人差,疾病における値の変動を,門外漢の私にもわかりやすく述べられ,現在はまだ入口にさしかかったところであると結ばれました.
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