今月の主題 血漿蛋白
技術解説
動物の免疫法
成内 秀雄
1
Hideo NARIUCHI
1
1東京大学医科学研究所生物製剤試験製造施設
pp.777-782
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911589
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最近血漿蛋白質に対する各種の抗血清が市販されるようになり,しかも沈降反応用のみならず,螢光抗体用,酵素抗体用のものも比較的手軽に入手しうるようになった.したがって,気軽に抗血清を使えるようになった.その反面,入手した抗血清の特異性や"くせ"を検討せずに使う傾向も出てきた.このような傾向とともに,市販抗血清は高価であることを考えれば,実験者がみずから抗血清を調整することの必要性は少しも減っているとは思えない.
抗血清の調整にはいくつかのステップが必要である.まず,不純物の少ない,理想的には純粋の抗原の調整,次いで,この抗原をアジュバントその他の免疫強化剤と混ぜてまたは結合させて免疫の準備をすること,そして,動物に注射し採血して血清を採り,抗血清の力価と特異性を確認して,抗血清として用いうるようになる.このうち,抗原蛋白の精製法については一部本誌にも別に解説されているし,どの抗原蛋白を精製するのかによってその方法は著しく異なり,そのすべてにわたって記述することは不可能なので,個々の場合については他書などを参考にしていただくことにして,動物の免疫注射法,およびその後の動物の取り扱いかたを中心に技術的な解説を行うこととする.
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