今月の主題 炎症
技術解説
ヒスタミンの定量法
三田 晴久
1
Haruhisa MITA
1
1国立相模原病院リウマチ・アレルギー臨床研究部
pp.157-163
発行日 1982年2月15日
Published Date 1982/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911479
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヒスタミンは図1の構造を有する生体アミンで,L-ヒスチジンがヒスチジン脱炭酸酵素により脱炭酸を受けて生成し,組織では肥満細胞,血中では好塩基球に貯蔵されている.即時型アレルギー反応において,ヒスタミンはこれらの細胞表面上のIgEと抗原との反応によって遊離し,近年,構造が確認されたロイコトリエン類(SRS-A)とともに,気道収縮を起こさせる物質と考えられている.遊離されたヒスタミンは,速やかに代謝されることもあって,生体液中のヒスタミン量は著しく微量であるため,現在でもなお,より正確な定量値を得るための新しい定量法の開発,改良が続けられているのが現状である.
本稿では,これまでに報告された数多くのヒスタミンの定量法のうちから,バイオアッセイについて簡単に触れた後,螢光法と酵素アイソトープ法(radioiso-topic enzymatic assay)について解説する.これらのほかに,比色法や筆者らが最近報告したガスクロマトグラフ—質量分析計を用いる方法があるが,前者は他の方法と比べてこれといった特徴がみられず,現在ではほとんど使用されていない.また後者は非常に高価な機器を必要とするため,臨床検査の目的のためには一般的でないと思われるので,割愛する.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.