今月の主題 血液ガス分析と酸—塩基平衡
総説
酸—塩基平衡の最近の動向
越川 昭三
1
1昭和大学(藤が丘病院)内科
pp.1577-1584
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911434
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はじめに
「酸—塩基平衡の最近の動向」というテーマが与えられたが,筆者には呼吸性の酸—塩基障害を論ずる資格はないので,ここでは代謝性の酸—塩基障害についてのみ述べる.
酸—塩基平衡の研究は,1920年ごろからのVanSlykeグループの精力的な研究から最近のAstrupに至るまで,"血液"の酸—塩基調節機構が中心的テーマであり,腎や肺の調節機構はそれを補完する形で研究されていたにすぎない.炭酸系を中心とする血漿緩衝系の働き,ヘモグロビンの機能が解明され,そしてAstrupらによる代謝性因子の指標としてのbase excessの概念と測定に至って,"血液"の酸—塩基平衡学は一応の完成をみたと言える.以後は,"腎"の酸—塩基平衡における役割と調節機構が中心的テーマとなった.腎の水素イオン分泌機構には,尿細管の酸性化部位の局在,水素イオン輸送機構,Na輸送との関連など,生理学的なテーマも多いが,ここでは臨床と関連のある話題についてのみ述べる.
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