Japanese
English
研究と報告
島性低血糖症患者の1例の終夜ポリグラフィー
All Night Polygraphic Study on a Case of Islet Cell Adenoma of Pancreas
斎藤 正武
1
,
田中 恒孝
2
Masatake Saito
1
,
Tsunetaka Tanaka
2
1北信病院神経精神科
2信州大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry and Neurology, Hokushin Hospital
2Dept. of Psychiatry, Shinshu University, School of Medicine
pp.977-983
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202530
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I.はじめに
膵ランゲルハンス島腺腫による島性低血糖症は,発作性に起こる意識混濁発作を主徴とする疾患で,その際ミオクロニーをはじめとする活発なけいれん様運動やてんかん発作が誘発される10)ところから,臨床的にてんかんと誤診されることが少なくない。そのためこの疾患は古くから臨床脳波学の研究対象となって,これまでに数多くの報告がなされている11,19,25,26)。
一方,この自発性低血糖発作は早朝空腹時に出現することが多く,夜間次第に血糖が低下してゆく過程で睡眠がいかなる影響を受け,脳波像がどのように変化するかは興味ある研究課題である。しかし睡眠と低血糖との関係についての観察は乏しく22),島性低血糖症の終夜ポリグラフィーについての報告は未だ見当らない。我々は毎早朝きまって意識混濁発作を起こす島性低血糖症の1例について,膵腺腫摘出前後に終夜ポリグラフィーを行ない比較検討する機会を得た。その結果若干の興味ある所見を見出したのでここに報告する。
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