特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅰ 脳波
2.記録法
石山 陽事
1
1虎の門病院生理学科
pp.1213-1221
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911380
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脳波を記録する場合,その記録された脳波が正確に電極直下の大脳皮質の電位変動をどの程度まで捕らえているかを検討することは,脳波検査の精度を上げるうえで有意義なことである.一方脳波が頭皮に接着した電極によって導出されたものである以上,少なくとも電極接着部位の頭皮上の電位が正確に検出されることが先決であり,そのうえで電極直下の大脳皮質電位を推定することが可能となる。しかし臨床脳波では直径約7mmの皿電極または表面積の大きな針電極を使用するため,導出された脳波は電極周辺のかなり広範な皮質電位の集合電位であると見なすことができる.一つの電極で検出可能な頭皮上の範囲は半径約2〜3cmといわれており,一般にはこの距離を目やすとして電極が配置されている.したがってこのような大きな電極によって,また頭皮上より導出される脳波は,おのずと直下の大脳皮質のごく限られた点の脳波とは異なってくる.しかし頭皮上より得られた電位はある広がりを持った大脳皮質の活動情況を把握でき,かつ無浸襲に検査が可能であるという点で臨床検査法としては大きな意味をもっている.
以上のように臨床脳波検査では頭皮上の電極によって脳波を導出することがその大前提となるため,実際的にはそこに使用する電極,電極の配置法,導出法及びこれに伴う基準電極位置などが基本となる.
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