Ex Laboratorio Clinico・58
RIA事始
Rosalyn S. Yalow
1
,
入江 実
2
1Veterans Administration Medical Center
2東邦大学内科
pp.1145-1151
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911362
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生い立ちと研究者への道
――本日は、ラジオイムノアッセイ(RIA)の創始者の一人として,また女性でノーベル賞を受賞されたということでも有名なYalow博士に,いろいろとお話を伺ってみたいと思います.まず,先生はどのようなきっかけで科学者になり,またどのようにしてRIAを中心とした立派なお仕事をなさったのか,お聞きしたいと思います.
Yalow 私は子供のころからずっと,科学者になりたいと思っていました.しかし,科学のどの分野に進むかを決めるのは難しいことでした.小学生のころは算数が好きで,高校では幾何学や代数学,それから化学に興味を持つようになりました.私が大学,大学院に行った1930年代は,物理学,特に核物理学が私にとって最も魅力的な分野に思えました.みんなキュリー夫人や他の科学者の物語を読んで,ちょっと実験をやれば大発見ができてノーベル賞をもらえる,というような印象を持ったような時代たったのですからね.しかし,世界中どこでもそうですが,女性が物理学界になかなか受け入れてもらえない,という点はありました.実際,私が大学院に進もうとしていたとき,それよりもそこの大学院の著名な生物化学者の秘書として働くように,と物理学の教授に勧められたことがあります.私は1941年1月に学士号をもらい,実際に秘書として働くことにしました.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.