今月の主題 救急検査
技術解説
生体中の薬物の分析法
西川 隆
1
,
斎藤 正行
1
1北里大学臨床病理
pp.136-141
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911149
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
今日私たちの生活ではたくさんの化学的物質を使っている.しかしこれらが時には幼児が誤って殺虫剤を飲むとか,医薬品の過剰摂取とかの事故を起こし,また自殺や他殺にも使われている.実際厚生省及び警察庁の調査によると,化学物質による中毒で死亡した人数は年間約6,000人で,交通事故による死亡者約9,000人の60%にもなる1).
最近我が国も欧米同様,交通安全対策及びそれに関連した救急医療体制が着々と整備されてきたが,それに比し薬物中毒対策は欧米に比しかなり遅れているというより,全く手が着けられてない.早急に我が国でも中毒情報センターや中毒物質分析センターが設置さねる必要がある.もちろんこれらセンターは,24時間年中無休のサービス体制でなければ機能は発揮しない.薬物中毒によるらしい昏睡患者の原因薬物が直ちに検出されれば,それに応じて適切な治療が行われ多くの人が死から免れるであろう.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.