中検へ一言・中検から一言
中検運営の改善を,他
安部井 徹
1
1東邦大・内科
pp.412-413
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909341
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私が臨床医になったころは,末梢血液,尿,便はもちろんのこと,血糖,尿糖定量,残余窒素なども,すべて自分で測定しなければならなかった.今日の中央検査室の発展を考えると,まさに隔世の感がある.単に病院内のことにとどまらず,医学検査を専業とする機関が外にあることも,開業医や集団検診にとってはなはだ便利であり,今日の高度な医療授給の一因になっている.したがって私は特に中検に対してこれ以上のことを望むことはないと考えているが,飽くことのない人間の欲望からいわせてもらえれば,今後の中検の発展として望みたいことはたくさんある.第一に検査データの迅速な処理が欲しい.病院が大きくなればなるほど,医療側がデータを入手するのには時間がかかる.緊急を要するものに対する処理は一応あって,限られた施設と人員によってできる限りの努力がなされていることはよく知っている.しかし通常の検査成績が,自動的に外来や病棟に通知されるまでに少し時間がかかり過ぎるのではないか.これは中検だけではなく,病院全体で改善に努力すべきことかもしれない.検査の能率化への発展は確かに目覚ましい.機械化されて少ない検体量で不必要な検査成績まで一緒に測定される.そのうちに"検査"に丸をつければ,全部のデータが短時間で私たちの手に届くのではないかと楽しみである.しかし私たちにとっては,必要なデータが必要なときに,必要な速さで手に入ることのほうが有り難いことである.
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