感想
速記録「臨床化学検査のバラツキ」を読んで—京大中検の場合
富田 仁
1
1京大病院中央検査部
pp.66
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906066
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臨床化学検査のバラツキを読んでの感想を述べよとのことであるが,その前に京大中検がこれに参加しなかった理由の方が大切であるので,それから述べる。本誌第6巻第2号の誌上で,この企画のあることを知り,これに参加するかを担当医師にはかったところ,非常に多忙であるという理由で,今回は棄権することになった。ところが5月下旬医学書院の好意によって試料が送られて来た。早速規定のごとく検査した結果は次のとおりであった。総タンパク量6.4g/dl残余窒素26.8mg/dl,ブドウ糖263mg/dl,Na 133.6mEq/l,K↑↑(検査室においてはKは10mEq/l以上のときは,血清を更に希釈して行なわずにK↑↑として報告することにしている),Cl 73.4mEq/l,コレステロール114.0mg/dlであった。ここでK↑↑が問題となり,ついに成績を送らなかった。というのは私,日本臨床病理学会近畿支部例会の一つの試みとして,近畿の大学,有名大病院の検査室に同一試料を送ってNa, K,コレステロールを測定してもらったことがあるが,某大学からK 11.3mEq/lという成績が送られてきて余りにもかけ離れているので困ったことがある。このことが脳裡にこびりついていたので,K↑↑(10mEq/l以上を意味する)ではデータを送ることはできないということで報告をやめた。
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