研究
Single Radial Diffusionによる血清補体価のスクリーニング法
高槻 景子
1
,
伊藤 忠一
1
1東北大病院中検
pp.510-512
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908970
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はじめに
血清の補体ないしは補体成分の測定は,生体内における免疫学的病変の解析に極めて有効な手段の一つと考えられている.現在,血清補体価の測定法としては,もっぱらMayerの50%溶血法1)が普及しているが,本方法は手技が繁雑なため,多数の検体を同時に処理するには,はなはだ不便であるという欠点がある.すなわち1検体につぎ最低4通りの希釈が必要であること,温度の影響を避けるため氷水中で手早く行わなければならないこと,比色とそれに次いで計算する必要があることなどである.
MilgromとMiller2)は補体の溶血活性をみる方法として,感作ヒツジ赤血球を混合したカンテン板を用いたsingle radial diffusion法を報告した.この方法はその後,血清中に存在する免疫溶血反応を阻害する抗体の検索3)や非免疫学的溶血現象に関与する因子の研究4)などに用いられてきた.著者らは,このたび血清補体価を簡便な方法で測定する方法がないかと考え,MilgromとMiller2)によって発表された方法について検討を加えた.すなわち,感作ヒツジ赤血球カンテン板を作製し,試料孔をあけて血清を満たし,一定時間反応させ,周囲に形成された溶血輪の直径を測ることにより補体価の定量を試みた.
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