Senior Course 血液
—検査室からみた血液疾患の特徴—低色素性貧血
天木 一太
1
1日大・第1内科
pp.110-111
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908858
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本シリーズのはじめに
血液学的検査では,得られたデータについての判断がどうしても付随してくる.例えば,赤血球数とヘマトクリット値と血色素量とを測定した場合は,色素指数(CI)とか,平均赤血球容積(MCV)とか,平均赤血球血色素濃度(MCHC)とかが算出されるが,これらの数値をみているとその血液所見の特徴がわかる.CIが1.4などという高色素性を示した場合には,それに相当する他の所見,例えば巨赤血球があって,形が不正形で,大小不同が著しいとか,そのような時には骨髄穿刺では巨赤芽球がみられるであろうとかいうようなことである.
一般の血液検査ではCIが1.3を越えるような症例はそう多くはない.それが毎日数例もあるようでは,どこか検査に正しくない点があるはずである.反対に0.8以下が多い場合にも,そのまま無関心でいるわけにはいかない.つまり,血液検査室の主任級の人は,血液検査データの意味するものを知っていて,他のデータに期待される所見があるか確かめたり,更に臨床の人々に,進めたほうがよい検査の方向を知らせてあげたりすることが望ましい.このような考えから,このシリーズが企画されたのである.
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