超音波診断の読み方
心臓断層図による診断
田中 元直
1
1東北大・抗酸菌病研究所
pp.975-980
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206056
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
超音波心臓断層法はパルス反射法を応用した方法であり,その原理については他の臓器における断層法と同じである,しかし.循環器疾患においては,先天奇形にるける心血管構造変化をはじめとして,後天性疾患においても心房や心室の拡大,心筋肥厚,弁尖の変形等の形態異常,あるいは解綱学的構造異常が疾患の本質をなし.形態異常が機能上にも大きな影響を及ぼすことが多い.したがって.軟性組織構造の非観血的映像化の方法である超音波断層法の診断上の効果は他の臓器の場合とは比較にならぬほど重要な意味を有する.しかも心臓本来の機能であるポンプ機能の原動力は心臓壁の動きで生じ,その動き自体は心臓の各部分の位置や形の変化に現れるので,心臓構造に関する診断情報は機能判定上でも大きな役割を演ずる.このような点から,循環器領域における超音波応用は独特の展開がなされている.
心血管系は主として筋性組織や弁尖,腱索などの線維性組織から成り立ち,内容として均一媒質とみなしうる血液を充たしており,その構造は音響的には超音波を用いて映像化するのに好都合な構造をなしている.弁尖や心臓壁と血液との境界面は良好な反射を生じ,心拍同期法による心臓断層図では心臓構造の2次元的断面像が容易にとらえられる.この断層図の上から,現在,次のような診断情報が得られている.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.