Senior Course 病理
臨床病理学的立場よりみた電子顕微鏡学・4—生物試料の作成法—超薄切片法を中心に
相原 薫
1
1日本医大病理,中央電顕室
pp.474-475
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908526
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今回は超薄切片法による試料作製法の概要について述べる.電顕用組織処理過程については図に示すごとくであり,生検材料,病理解剖材料あるいは血液,浮遊細胞などを採取後2〜2.5%グルタールアルデヒド固定を行い,緩衝液でよく洗浄する.この洗浄を十分行うことは,コントラストのよい電顕写真を得るうえでの必須条件である.次にオスミウム酸による固定に移るわけであるが,この時間は生物試料では1時間くらいが適当である.緩衝液はグルタールアルデヒド前固定液とオスミウム酸と同一のものを使用するのが原則である.病理解剖材料を電顕検査に活用できるか否かについては従来から議論の分かれるところであるが,最近は数か月ホルマリンに保存した組織から電顕的検索を行い,十分検討にあたいする知見を報告した例も一,二にとどまらないので,十分試みる価値がある.ただこの場合,人工産物あるいは死後変化を十分除外する必要があろう.固定,脱水の過程は図に示したとおりで,この過程は光顕のそれと同一で,光顕標本を作成した読者なら容易に理解できよう.次に酸化プロピレン,QY−1などにより置換を行う.これらの薬品は引火性にとみ揮発性が著しいので取り扱いに留意する.次にエポン系樹脂に包埋するわけであるがこれには種々の製剤が市販されている.表2にみられるように大別して一次元重合構造をとる樹脂と三次元重合構造をとる樹脂がある.前者の代表例はメタクリレイトレジンで1960年代によく使用された.
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