特集 免疫組織・細胞化学検査
基礎と技術
8.免疫電顕法
3)凍結超薄切片法
鈴木 英紀
1
Hidenori SUZUKI
1
1東京都臨床医学総合研究所循環器病研究部門
pp.60-64
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902668
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はじめに
凍結超薄切片法はTokuyasuの改良により,数ある免疫電顕法の中で最も信頼性のある方法として確立されてきた1).樹脂包埋した切片を用いるpost-em-bedding (包埋後染色)法2)に比較すると,本法は未包埋のために,抗原性の保持あるいはその露出が良く,高い標識密度が得られる3).したがって,凍結超薄切片法はポリクローナル抗体を使った包埋後染色法では十分な標識密度が得られない場合4,5),さらにモノクローナル抗体による染色が,凍結切片でしか陽性反応が得られない場合に特に有効である6).一方,凍結超薄切片法の形態は,通常のエポン超薄切片に比較すると劣るとされるが,免疫染色後,四酸化オスミウム固定してLR Whiteで包埋,封入すると,その形態はかなり改善される3).
本稿では特にTokuyasuの方法1)の実際について解説する.本法は凍結時の氷晶形成防止にポリビニルピロリドン,免疫染色後の包埋にポリビニルアルコールを使うことが特徴である.さらに,本稿では凍結超薄切片法の限界についても述べる.
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