技術解説
支持体電気泳動法—その最近の技術の進歩
小峰 仙一
1
1杏林大生化学
pp.962-970
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908207
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溶液中の荷電体が電場で移動する現象を電気泳動と呼ぶ.電気泳動法を大別すると,自由電気泳動とゾーン電気泳動に分けられる.自由電気泳動は図1のごとき光学系を用いて,図2のような装置の内に,図3のセル内に試料を入れ,このセルと直結された電極槽溶液に直接電極を挿入通電する方法で,Tiseliusの考案によるところから,一般にTiseliusの装置と呼ばれており,電気泳動の理論的な間題処理は本法によるほかはないが,本法では混在する各成分をすべて純粋に取り用すことは不可能であり,またその操作にはかなりの熟練を必要とし,かつ個々の測定に相当の時間を要するため,臨床検査の面ではほとんど利用されない.
一方ゾーン電気泳動とは濾紙,カンテン,セルロースアセテート膜などに溶媒を含ませ,その内で溶質を泳動させるもので,この溶媒を含ませる素材を支持体と呼ぶ.このためゾーン電気泳動という替わりに支持体電気泳動という呼称が広く用いられている.この支持体は無荷電であることと,溶質を吸着しないことが理想条件ではあるが,若干これらの条件を満たしえなくともさしつかえない.
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