Senior Course 血清
白血球混合培養試験—Mixed Leucocyte Culture:MLC
伊藤 忠一
1
1東北大中検
pp.939
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908200
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リンパ球を試験管内でいろいろの刺激物質とともに培養すると,リンパ球は幼若化し,細胞分裂を起こすようになる.このような観察はNowell (1960年)によってファイトヘモアグルチニンを添加したヒト末梢白血球の培養の際に初めて観察された.次いでPearmainら(1963年)はツベルクリンで感作された動物のリンパ球をツベルクリンの存在下で培養する時にも同様の現象がみられることを認めた.
一方,SchrekとDonelly (1961年)は単独の白血球を培養しても起こらないのに,遺伝的に異なる2人のヒトより,それぞれ採取した白血球を一緒にして培養すると,リンパ球の幼若化が起こり,DNAやタンパク合成が活発になり,細胞が分裂してくることを見出した.このように二つの異なる個体由来の白血球を混合して培養することを,白血球混合培養試験(MLC)と呼び,リンパ球の幼若化現象の起こり方を定量的に観察して本反応の程度を表現している.本反応には赤血球や血小板などは関係しない.一卵性双生児同志では本反応は陰性であるが,全く血縁関係のない人同志のMLCは強く起こる.血縁関係にある人(二卵性双生児や,兄弟姉妹など)の多くはその中間の反応を示すことから,この反応に関与するものは遺伝的に規定されているものではないかという当然の推測が成り立つ.
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