Senior Course 血清
Lymphocyte Mediators (3)—マクロァージ遊走阻止因子(macrophage migration inhibitory factor,MIF)について
伊藤 忠一
1
1東北大病院中検
pp.699
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908133
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細胞性免疫の試験管内検査法のひとつとして最近,マクロファージ遊走阻止試験(MIT)が盛んに用いられるようになってきた.
RichとLewis (1932年)はツベルクリンで感作されている動物の脾切片をツベルクリンを加えて培養すると,その脾からマクロファージの遊走するのが抑制されることを観察した.この現象の意味するところはその後長い間,不問にふされてきたがGeorgeとVaughan(1962年)によって感作動物のリンパ球をマクロファージとともに毛細管につめて培養するという手技が開発されるに及び数多くの研究が行なわれた.その結果,マクロファージの遊走阻止現象は細胞性免疫の代表的表現型と考えられている遅延型の皮膚反応と密接に相関すること,さらにこの現象の機構については抗原に特異的に感作されたT細胞が抗原に再び遭遇するとMIFを生産遊離しマクロファージの遊走を阻止するということが明らかにされた.したがって本現象の特異性は抗原と感作リンパ球によって規定されるものであり,マクロファージは単なる指示細胞にすぎず抗原特異性はもっていない.指示細胞としてはマクロファージ以外でも遊走能力をもった細胞であればなんでもよいと考えられるが,実際に末梢血のbuffy coat (主に好中球より成る)や培養細胞(バーキットリンパ腫より培養樹立されたHR−1細胞など)を用いる手技も報告されている.
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