Senior Course 血清
Lymphocyte Mediators (2)—リンパ球幼若化現像について
伊藤 忠一
1
1東北大病院中検
pp.579
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908099
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末梢血の小リンパ球は形態学的に安定であり,代謝活性もほかの細胞に比較してきわめて低いことから,長い間,個体における細胞分化の最後のすがたであろうと考えられていた.すなわち,小リンパ球はこれ以上分裂増殖することはないとされていた.ところが,1960年,Nowellはこれらのリンパ球をフィトヘマグルチニン(PHA)とともに培養すると,リンパ球は全体として大きくなり,特に核および核小体の肥大とともに核は網目状の構造をとり,リンパ芽球(lymphoblast)のように変化することを偶然に観察した.この現象は‘リンパ球幼若化現象(blast transformation)’と呼ばれている.
その後,(1)このようなリンパ芽球の出現は感作動物のリンパ節の胸腺依存領域(paracortical area)にも認められること,(2)ツベルクリン反応陽性者のリンパ球をPPDの在存下で培養すると同様の現象が観察されること,(3)本現象に関与する細胞はT細胞であることなどが明らかにされてきた.もちろん,本現象が生体内に実際に起こっている細胞性免疫をどの程度反映するものかどうかの解明はまだ完全にすんではいないが,細胞性免疫と密接に関連していることは明らかであり,現在,細胞性免疫のin vitroの検査法のひとつとして,かなり広く利用されている.以下に実際の術式について簡単に記してみよう.
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