Senior Course 血液
骨髄像の見方・考え方(1)
桑島 実
1
1日大臨床病理
pp.118
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907971
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1.造血組織の発生
ヒトの血球生成は胎生2週ごろ卵黄嚢の一部が分化し,血球のもとになる細胞の集団(血島)を作ることから始まる.胎生3週に内皮細胞が血島をとり囲み,血島からはまず原始赤芽球(primitive erythroblast)ができる.胎生初期には血球生成に必要な物質が足りないためか,原始赤芽球は巨赤芽球に似た形態で原始ヘモグロビンを作るが,脱核した赤血球にはならない.そのうち原始赤芽球にかわり,成人のと同じ赤芽球(normoblast)が増加し赤血球が作られる.胎生3か月には原始赤芽球数:赤芽球数は1:1となる.
胎生1か月ごろから卵黄嚢にかわり肝臓,次いで脾臓での造血が始まる.これが最大になる胎生4か月ごろ血管に富む骨芽組織が骨の軟骨原基内に進入し,軟骨質を破壊吸収し原始骨髄腔を形成する.ここに血管から造血細胞が進入し骨髄での造血が始まる(図1).それに伴って白血球系細胞,巨核球などの産生も盛んになる.
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