研究
組織材料の取り扱い方の違いによる形態学的差について
村井 哲夫
1
,
宮木 考治
2
1藤沢市民病院検査科
2関東労災病院検査科
pp.1458-1460
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907859
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はじめに
臨床診断の目的で肝臓,腎臓などの充実性臓器の生検がしばしば実施されており,その形態といわゆる臨床検査所見との関係もしだいに明らかになってきた.しかしさらに検討すべき点も多い.たとえば疾病の経過を調べるために同一症例の針生検材料,手術材料,剖検材料の形態学的な比較を行なうと,しばしば大きな差が見られる.疾病の経過による形態学的な変化が1つの原因であるが,さらに組織材料採取法の違い,およびその後の材料取り扱い方の違いによるでき上がった組織標本の形態学的な差が大きな原因である.それゆえ形態学的な変化を経時的にとらえ,機能検査所見との比較などに際しては,このことを十分に考慮し実施されねばならない.
著者はこの組織材料採取法およびその後の取り扱い方の違いによる,でき上がった標本上の形態学的な変化を調べる目的で,家兎を利用し,実験的に材料採取法,標本固定法の違いによる差の比較,ならびに死後経時的に臓器変化を調べた結果を検討した.またこれらの材料について著者が従来行なってきたIntegrating eye piece Iにより組織計測を行なうことにより,標本上の形態学的な差を推計学的に検討した.
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