特集 輸血業務と臨床検査
輸血用血液の臨床検査
1.生化学的検査
松村 義寛
1
1東京女医大・生化学
pp.1217-1220
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907810
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トランスアミナーゼ活性
輸血の副作用として頻繁に見られるうえに,受血者に不愉快な症状を発現させるものの1つに血清肝炎(輸血後肝炎)がある.この原因とされる病原体の有無を検査すべきことは当然であるが,この実施は現在のところ困難であるので,間接的に病原体の有無を察知するような方法がとられるのである.
血清肝炎の患者には肝障害に伴って血清中のトランスアミナーゼ活性が著しく増加する事実がある.肝炎の主要な症状である黄疸,発熱などに先んじて血清中トランスアミナーゼ活性値が上昇し,肝炎症状の軽快とともに下降する経過を示す.時には黄疸などの症状を示さないでも,輸血後のある時期にトランスアミナーゼの血清中活性上昇・下降の経過をたどる,いわゆる無黄疸性の肝炎症状のあることが知られている.
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