特集 輸血業務と臨床検査
輸血用血液の臨床検査
2.血液型と抗体スクリーニング
細井 武光
1,2
1京都第一日赤病院検査部
2京都府赤十字血液センター輸血研究部
pp.1221-1230
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907812
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輸血が行なわれる時,まず要求されることは受血者と供血者の血液型が同一であるということである.輸血は広い意味での臓器移植であろう.しかし,赤血球には寿命があり,やがては受血者の血中から消えてゆくから,救急のための一手段ではある.しかし,供血者血液が受血者に適合しないものであれば,激しい拒絶反応によって供血者血球は急速に受血者血中から除去され,その過程で激しい症状をひき起こす.もし,輸血時供血者血球に対する抗体がないか,ごく弱いものであれば,その時は無症状に過ぎても抗体が産生されるに及ぶと,時には遅延溶血反応の形で供血者血球が破壊される.
輸血用血液,現在では献血血液について血液型検査や抗体スクリーニングを行なう血液センターでは,大量の検体を取り扱うということを考慮しなければならない.これには,献血者の受付,試験採血,検診,本採血,各種検査による廃棄などのふるい分け,ラベリング,血液台帳の作製,供給などの保存血液としての主たる仕事の流れのほかに,仕事の内容は同じであっても製品としては質を異にするヘパリン血,新鮮血,洗浄血,凍結新鮮血漿,濃縮血小板血漿など種々の成分輸血に必要な血液の検査を含む処理が併存している.
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