特集 負荷機能検査法
Indocyanine Green(ICG)負荷試験
長村 日出夫
1
,
藤沢 洌
1
1東京慈恵医大第1内科
pp.966-970
発行日 1972年9月15日
Published Date 1972/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907741
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肝細胞は,循環血中の内因性あるいは外因性の物質を取り込んで,これらを濃縮して胆汁中に排泄する機能を有している.Bromsulfophthalein,Indocyanine green,Rose bengal,Fluoresceinなどの有機色素は,それぞれ排泄機構に相違はあるが,血漿から肝細胞を経て胆汁中に排出されるので,この性質を利用して肝血流量や肝排泄機能を推測しようとする試みが古くよりなされてきた.
図1に示す化学構造をもつBromsulfophthalein(BSP)は,1925年White&Rosenthal1)によって肝機能検査に導入され,その後多くの研究の累積の結果,Mateerら2)によって肝排泄機能の標準検査法としての価値が確立された.血中から肝へのBSPの取り込みでは,網内系の関与は少なく,もっぱら肝細胞によって行なわれ,胆汁中への排泄は数時間にわたって認められるので,BSP静注後30分あるいは45分の血中停滞率を知ることは,肝胆道系の障害に対して特異性の高い,簡易でぎわめて鋭敏な機能検査の1つとして,今日でも,その診断的価値はいささかも失ってはいない.
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