研究
マイコプラズマの定量法の検討(1)—CFU(colony forming units)に影響する因子
中村 昌弘
1
,
松岡 康恵
1
1久留米大・微生物
pp.415-419
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907587
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はじめに
マイコプラズマ(mycoplasma)は現在知られている細菌の中では最小のものであるので,これを見るには光学顕微鏡はまず何の役にもたたぬし,電子顕微鏡で観察しても形態が多形態をとるためにその菌数の定量は形態学的には不可能である.すなわち,径約100Å程度のエレクトロンデンスの最小生活単位(minimal reproductive unit)は明らかに増殖能力をもつといわれているが,多形態の中にはすでに死滅しているものもあるような所見もあって,一般細菌と比較にならぬほど増殖時期と菌の形態との相関がつけにくい.
したがって1単位容積中に含まれるマイコプラズマの定量はその生活能力をもつ細菌数,すなわちマイコプラズマ用培地に培養して生じたコロニー数によって定量するのが普通である.特別の例外を除いては,検査すべき材料を適当な溶液で10段階希釈して,その一定量をPPLD寒天培地の表面に接種して一定期間培養し,生じたコロニー数により,もとの材料中に含まれるマイコプラズマの数を算出している.これをcolony forming units(CFU)と呼び,あたかもウイルスの定量に用いられるプラック法のplaque forming unit(PFU)のように,CFUはlog10の単位で算出している.
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