検査技師のための解剖図譜・3
胃
三島 好雄
1
1東大第1外科
pp.324-325
発行日 1972年3月15日
Published Date 1972/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907563
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胃は食道と十二指腸を連結するやや細長い嚢状の内腔の広い器官で,左上腹部に位置し,左後上方から右前下方に向かって斜めになっている(図1).側面からみると図2のように,肝下面と横隔膜から小彎(lesser curvature)に連なる腹膜重複部,すなわち小網が胃を上方からつり上げている.また大彎(greater curvature)と横行結腸の間には腹膜重複部でできた大網(あるいは胃横行結腸靱帯)がある.このように胃の上方は肝臓に連なり,下方には横行結腸が付着し,前壁は前腹壁に接し,後方は網嚢をへだてて膵前面に達する.
胃の食道との移行部を噴門(cardia),この付近を噴門部,横隔膜に接する部分を弓隆部,中央の大部分を胃体部という.小彎の屈曲部を臨床的に胃角と呼び,これより十二指腸側を幽門部という.幽門部から十二指腸への出口を幽門(pylorus)と呼び,ここには幽門括約筋がある(図3).
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