特集 酵素検査法
生化学
アミラーゼ Amylase
関 知次郎
1
1名市大・中検
pp.1260-1266
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907408
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
いとぐち
急性でショックを伴う腹痛があった時,穿孔性腹膜症,結石症,腸嵌頓,膵壊死などいずれも緊急なる処置を要する場合が多い.この時にアミラーゼを測定すれば,膵に問題があるか否かをきわめて容易に判定しうる.それゆえにまた緊急検査としてもアミラーゼ検査は欠かせないものである*1).消化酵素を産生することをその主要な役割の1つとする膵は,アミラーゼ以外にも主要三大栄養素に対比してタンパク分解酵素,脂肪分解酵素を大量に作っている.それなのにアミラーゼが検査として最もよく使われる理由を考えてみよう.
タンパク水解酵素はこれを産生する細胞をも分解しかねないが,一般にはプロ体(チモーゲン)として産生され,一定の順で活性化されるし,抑制作用をもつものも生体中には同時に存在することが多く,自己消化を防いでいるので血中で測るには難点が多い.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.