研究
術中細胞診断のための迅速固定,染色法の検討
大田 暉和
1
,
奥本 隆
1
,
宮田 鈴恵
1
,
豊福 恵子
1
,
芹井 ちか子
1
1奈良県立医大病院中検病理
pp.919-924
発行日 1971年9月15日
Published Date 1971/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907312
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はじめに
日常,術中の迅速病理診断には凍結切片(以下凍切という)による組織診断法が行なわれているが,その標本作製過程において高度の技術と熟練が要求され,そのうえ短時間で一切片による診断にせまられることや,加温,凍結,融解と急激な諸種の物理的変化を受けることによる細胞ないし組織の避けがたい形態的変化に加えて,人為的な組織の損傷も見られることがあり,これらが診断に大きな影響を及ぼすことは周知のとおりである.
一方,細胞診のめざましい発展とともに細胞単位での悪性判定が確立され,またその他の病変も細胞診からその推測を可能にする今日,技術的検討を加えることによって細胞診を術中迅速診断に応用できると考えられる.そこでわれわれは約半年前より凍切法と併行してタッチスメアーによる診断を試みてきたが,凍切法よりもいかに時間を短縮し,そしてかつ通常の細胞診標本と変わらないものを作製するかが技術的な問題点であり,少なくとも悪性腫瘍を判定するための必須条件である核構造を保持するには,固定が重要な点と考えられるゆえ,固定法についてその可能性を検討した.
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