寄生虫・原虫の生活環・1【新連載】
トキソプラズマ—(Toxopalasma gondii)
小山 力
1
1国立予防衛生研究所寄生虫部
pp.642-643
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907243
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トキソプラズマとは
胞子虫類に属する寄生性原虫で,哺乳類から鳥類にわたって広く寄生する,人では脳水腫,脈絡網膜炎,精神・運動障害などの病原体として重要である.栄養体は三日月形で体長6μ,体幅2μぐらいであり,嚢子虫体は大型球形の嚢子中に多数存在するが,個々の虫体の大きさや形態は栄養体によく似ている.この嚢子虫体は組織内にあって,たえず嚢子壁の拡張と虫体の増殖を続けていると予想され,その性質上,栄養体の一種とみなされるようになった.最近,ネコ体内でコクシジウムのそれに似た別の生活環のあることが報告されたが,多くの研究者の追試によって今日ほぼまちがいない事実と考えられるに至っている。
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現在,生活環のすべてが解明されたわけではなく,ここに記したものの中には,なお今のところ予想経路であって将来の検討にまたねばならぬところもあるが,おもに人との関連で付図により大筋を説明する.
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