研究
抗凝固剤EDTA−2Kの乾燥条件の血球成分に及ぼす影響
寺田 秀夫
1
,
根橋 武子
2
,
石井 玖枝
2
1昭和大・臨床病理
2昭和大病院中央研究検査所
pp.81-84
発行日 1970年1月15日
Published Date 1970/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906675
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はじめに
臨床検査の中央化に伴い,臨床各科で採血びんに適当な抗凝固剤を添加して静脈血を採取し,中検で一斉に検査する方法がはるかに能率的であり,三輪らの昭和42年度の調査では,病床約280床以上の76病院のうち64.5%が,血液検査のために静脈採血を行なっていることが知られている.
著者らは,血液検査のための最適の抗凝固剤としてEDTA塩,特にその2K塩が血球成分の形態に与える影響も少なく,また血小板算定にも適することをたびたび報告2,3)してきたが,使用に際しての乾燥条件としては,一般に60℃以下とされ,日常には37℃の孵卵器に一昼夜放置して,乾燥し使用しているのが普通である.しかしながらEDTAの融点は240℃4)であり,したがってEDTAのNa塩またはK塩のキレート力も当然熱に対して変化せず,急いで採血びんを乾燥させるためには,EDTA塩を100℃で短時間に乾燥させても,血球成分に対する影響は37℃で乾燥させた場合と同様変化ないことが想像される.この報告では,EDTA塩の乾燥温度と乾燥時間をいろいろ替えて,この塩のキレート力ならびに血球成分に与える影響について検討したので,その成績を報告する.
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